コロナ禍で残業がゼロになり、突如目の前に現れた「結婚式費用400万円」という巨大な壁。 嘆いていてもお金は1円も降ってきません。
「とにかく、やるしかない」
そう決意した僕が選んだのは、出前館の配達員として「体を張って泥臭く稼ぐ」という道でした。
「頭で稼ぐ」ことから逃げた過去と、失ったもの
実は、出前館を始める前、僕は別の方法でこの危機を乗り越えようともがいていました。 「楽して稼げるかもしれない」という甘い言葉に乗り、ネットワークビジネス(MLM)に手を出したのです。
結果はどうだったか。 お金をたくさん無駄にしただけでなく、大切だった友達からの信用まで失ってしまいました。あの時の自己嫌悪と絶望感は、今でも忘れることができません。
そのどん底で、僕は一つの真理に気がつきました。 「自分は、頭を使って小手先で稼ぐのには向いていない」と。
でも、高重量のスクワットやプレスで日々追い込んでいる肉体、そして地域のコミュニティリーグで走り込み続けているバスケのフットワークには、誰にも負けない絶対の自信がありました。
「だったら、この体力を限界まで使って、泥臭く汗をかいて稼ぐしかない!」 そう腹を括り、出前館のアプリを登録したのです。
震える手で運んだ初日と、「ぐちゃぐちゃの寿司」
「体力には自信がある。とにかく配達しまくればいいんだ」 そう意気込んでスタートしたものの、現実は甘くありませんでした。
初めての配達は、不安でいっぱいでした。 「本当にちゃんと届けられるのか?」「住所を間違えたらどうしよう?」 ナビを見ても迷子になり、ただでさえ焦っているところに、あの大失敗が起きます。
原付での配達中。 バランスを崩して、危うく転倒しそうになったのです。 なんとか持ち堪えたものの、ふと荷台を確認すると……お客様に届けるはずの「お寿司」が、ケースの中で無惨にもぐちゃぐちゃになっていました。
血の気が引きました。逃げ出したい衝動に駆られました。 でも、ネットワークビジネスで「人としての信用」を失う怖さを痛いほど知っていた僕は、ごまかすことだけは絶対にしてはいけないと思いました。
そのままお客様の元へ向かい、ぐちゃぐちゃになったお寿司を見せ、頭を深く下げて全力で謝罪しました。 情けなくて、悔しくて、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになった「副業初日」の記憶です。
それでも、走り続けるしかなかった
住所を間違えて怒られたり、お寿司をダメにしてしまったり、失敗だらけのスタート。 それでも、僕には立ち止まる選択肢はありませんでした。
後ろを振り向けば「残業ゼロ」の絶望が迫っていて、前を向けば妻と一緒に叶えたい「結婚式」という目標があったからです。
頭を使わなくていい。とにかくペダルを漕いで、原付を走らせて、自分の足を動かせば、それが確実にお金に変わる。その事実だけが、ボロボロになった僕の心を支えてくれました。
こうして、僕の「出前館サバイバル」が幕を開けました。 次回は、雨の日の過酷なタワマン地獄と、そこから僕が「月収〇〇万」を叩き出すまでに覚醒していく過程をお話しします。


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